特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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スーダン2010.11.04

鉛筆

ほぼ毎日のようにハサバラ村村長ハサンから電話があり、「もしもーし(この部分は日本語で。)カナ、どこにいる?コーヒーを飲むよ」と誘われます。その電話はいつも唐突に、そして診療時間など構うことなくやってきます。
先日ハサンに招待され、いつものように生姜の効いた甘いコーヒー(これが美味)を飲みながら子供たちとじゃれあっていました。
そのうちの一人が私のバックの中をごそごそし、入っていた新しい一本の鉛筆を探し出してきて、にこにこしていました。
近くにいたハサンの奥さんが、ウマルにあげて!(ハサンの第2夫人の長男)というのです。
私は、やれやれと思いながらも(ハサンの家にはハサンの実の子供が10人以上15人未満くらいいて、モノをあげはじめるとキリがありません)、ウマルは隣町の学校まで毎日1時間かけて通っていることを知っていたので、“いいよ”といいました。
10歳のウマルは、いつも文句ひとつ言わず妹たちの面倒をよくみていて、いつも自分からモノをねだってきません。すると案の定、その周りにいた子供たちが羨ましそうに見ていて、とりわけウマルの双子の妹たちが「鉛筆欲しい!」と泣きだしました。まだ5歳で鉛筆などにぎれないのですが。
するとウマルが鉛筆を持ってきて、私に「ムンケン?(いい?)」と聞くのです。鉛筆を2つに折っていいかというジェスチャーをしています。ウマルにあげたのだから、ウマルの好きにしたらいいと答えると、ウマルは妹から見えないように家の外に出て、鉛筆を手と膝をつかって見事に2つに折って帰ってきました。
私は、そのウマルのお兄さん振りをみて、素敵な話だなぁとほのぼのした気持ちになりました。
妹二人は、それぞれ折れている鉛筆を握りながら泣き続けていましたが(やっぱり新しい長い鉛筆がいいらしい・・・)、私はウマルを思いっきりナデナデして「タマーム(いいねぇ)」と言って褒めました。
今日もハサンに招かれ、コーヒーを飲んできました。
数日前のことが嘘のように、カメラの前で笑っているウマルとその双子の妹たちです。
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