特定非営利活動法人ロシナンテス

活動報告ブログ

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スーダン2010.10.16

ハサバラ村より

久しぶりにハサバラ村よりブログです。
母子保健の活動もプロジェクトが始まって早いもので7カ月が経ちました。
ハサバラ村は雨期が終わり、緑が生い茂り、農作物であるアワも収穫期を迎えています。
村人たちは、男女を問わず朝早くから収穫に追われ、忙しい日々を過ごしています。
山羊や羊もラクダもロバも、ここぞとばかりに嬉しそうに草を食べています。
診療所の助産師による出産の介助件数も着々と増え、つい先週13人目の赤ちゃんが生まれました。村の人たちの間でも、プロの助産師がとりあげると、出産時やその後の痛みが少ないとか、産後のアフターフォローもしっかりしているし、合併症が格段に減るという良い噂が広まり、そういう口コミを聞いて、ハサバラ村だけではなく、その周辺の別村からも車を走らせて分娩や妊婦健診にくる妊婦さんが増えています。
それでもまだまだ伝統的産婆さん(無資格で出産を介助する産婆さん)にとりあげられている件数は依然として多いのです。
赤ちゃんやお母さんが産後に熱があるにも関わらず診察に来ないケースも多々あります。
数日前に診療所にやってきた生後2日目の赤ちゃんは、診療所に着いた時にはすでに息を引きとっていました。スタッフ一同、肩を落とし悲しんだのですが、この女性の妊娠・出産・産後に直接的に関われていれば、赤ちゃんの命をなんとかできたのではないかと、プロジェクトの意義を改めて再確認したようです。
そのほかにも、けいれん、へその緒の感染など、病院に連れて来てほしい重篤な症状を見過ごし、放っておかれることが多く、お母さんのみならず、その家族への教育の必要性もひしひしと感じています。
一方で、教育だけでは解決できないなぁと、頭を悩ますケースもたくさんあります。
つい1週間ほどまえに診療所を訪れた産後5日目のお母さんは、重症な感染を起こしているにも関わらず、決して医師の診察を受けようとしません。診察は受けたくないけれども、薬は欲しいと言い張るのです。医師と助産師は(私ももちろん)、本人やその夫、女性の母親に、感染の原因特定のために診察が必要であること、このまま放っておくことの危険性を何度も説明しましたが
結局、「夫以外の男性(この場合は医師)に女性の大事な部分を見られるくらいなら、(娘は)死んでもいい」
と女性の母親が言い残し、薬ももらわずに足早に帰ってしまいました。その後も、家を訪れ経過を追っていますが、こうした形で、私自身、村の考え方(命の重さと女性としての美徳)を理解できないと思うこともよくあり、何をどこまで尊重すべきなのか、母子保健という伝統的な考えが色濃く残る分野でのプロジェクトの難しさを肌で感じます。
ともあれ、赤ちゃんが元気に生まれてすくすくと育つよう、そのお母さんと家族が一緒に笑っていられるよう、皆で力合わせて、できることをコツコツやっていきます。
たつの