2万人の住民へ医療を届ける
社会インフラが十分でないスーダンでは、医療施設のない地域が多く存在します。
そのような場所では、たとえ病気になっても適切な診療を受けることができません。
こうした医者がいない村へ医療をとどけるため、医療サービスチームが車で約29の村を回る巡回診療の支援を行いました。
ハルツーム州ワッドアブサーレ区とは
首都ハルツームから車で1~2時間ほどの距離にあるハルツーム州シャルガニール地域ワッドアブサーレ区では、医療サービスチームが車で巡回診療を行っています。
ワッドアブサーレ区は東京都とほぼ同じ面積を有しているにも関わらず、社会インフラが整っておらず、医療施設がありませんでした。
巡回診療の内容
9名の医療スタッフが巡回
(リーダー・メディカルアシスタント・検査技師・助産師・栄養師2名・ワクチン接種担当・医療統計担当・運転手)
巡回診療車で砂漠の村々を回り、一般診察や母子健診、予防接種、栄養指導などをすすめています。
巡回診療の開始
巡回診療の朝は7時から。すぐに日差しが強く暑くなるので早朝から仕事にでかけます。目的の村に着くとマイクで巡回診療が来た事を村人に知らせます。
「予防接種が必要なお子さんをお持ちの方は外に出てきてくださーい」という放送を聞きつけて赤ちゃんとお母さんが集まってきます。
赤ちゃんから診察
まず、赤ちゃんの身長を測ります。体重を測ったら、次は予防接種。
助産師さんは家庭訪問へ。赤ちゃんの体重を測り、ちゃんと母乳が出ているかチェックします。
医療の大切さを伝える
巡回診療で村々を訪ねていると、時々診療を拒否される場面に出くわします。そんな時は、健診や予防接種の重要性を丁寧に話します。
村には障害を持ったお子さんも多く、リハビリの方法を家族に伝えるのも大切な仕事です。
拠点を構えて診療することも
予防接種係・栄養師・助産師が車で回っている間に、メディカルアシスタントと検査技師は一箇所に拠点を構えて診療を行います。
時には、夜間懐中電灯をつけながら診療する事もあります。村人にとって月1回の診療はとても貴重で、遠く離れた所からもロバでやってきます。
村人からのあたたかいご協力
巡回診療は炎天下の中での仕事のため体力を使います。村人が提供してくれるジュースや水は本当にありがたいです。
また、丁度朝ごはんの時間にあたると、村人がご飯を提供してくれる事も多々あります。また、夜は村人の家にお世話になります。
給油と薬の保管
電気が無いため、氷を使って冷蔵保存が必要な薬を保存します。2週間の移動中、氷がすべて解けて水になる事が数回あります。(29村で氷が売っているのは1村のみです。)また、もちろん氷だけでなく巡回診療車の給油のため、何度も町まで戻る必要があります。
協力いただいた方やトレーニングの様子
-
北海道大学医学部(当時)の藤田先生がスーダンに来てくださいました。現地スタッフの士気も上がります。
-
助産師トレーニングの様子。感染対策や医療器具の消毒方法を学びました。
-
保健センターでの実習。左が予防接種担当者。薬の説明をした上で接種します。接種を拒否するお母さんたちにも大切さを理解してもらえるよう、一人一人が正しい知識を持つ必要があります。
今後の展望
より多くの地域へ医療を
この地域に新しく建設した診療所や地域住民と連携しながら、無医村に医療を届けるこの仕組みが、スーダンの人々の手によって長く続いていくようサポートを行います。